
5年越しのE棟 エントランスドア。杉、椎、の経年が、見事。亜鉛メッキの鉄部とのコントラスト

W301 寝室の区切りを、1.5mの独立壁として、ゆるい仕切りとしている。天井だけ見たら、ワンルーム 床はアジアンウォールナット系15t
5年越しのE棟 エントランスドア。杉、椎、の経年が、見事。
今日も、stairhouse(ステアハウス)の原状回復工事を行ないました。W301号室と、??の二室同時施工。ステアハウスは、2021年1月から、稼働開始となった、漆喰と木の室シリーズの初めての新築バージョンです。2018年2月から、設計がスタートし、およそ3年をかけて、全37戸賃貸(1戸オーナー使用)延べ床面積2000㎡、RC(鉄筋コンクリート)造、6F建て×2棟です。
新築としての計画段階から、室内は漆喰と木で仕上げることの利点を、オーナー様へ提案し続け、ご理解いただいて、実現しました。元々オーナー様は、多くの賃貸住宅を運営されていて、通常の物件ではない利点と、難点をきちんと分別していただいたのだと思います。難点は何かというと、唯一コストであるかもしれません。ビニールクロスと漆喰の単価は、今はもう4倍以上になっているでしょうか。もちろん漆喰の方が4倍です。そこは、しかし、新築の場合は、全工事費における室内仕上げは、1割にも満たないので、よく考える必要があります。改修の場合の「漆喰と木の室」は、壁~床の全てを漆喰とすることによって空間を刷新しますが、今回は、建築全体を計画し、断熱方法を全て外断熱とすることによって、室内のコンクリート躯体を、全て打ち放しとすることができました。(外壁の内壁側を打ち放し仕上げとするには、外断熱とするか、もしくは断熱無しとするかしかない。)ステアハウスの全室内の漆喰仕上げは、基本的に、室内の木下地造作壁の仕上げ部分のみに施したから、漆喰の塗り面積は最小限に抑えることができました。その部分をクロスにするか、漆喰にするかは、全体コストの2%未満の差となりました。
最も、イニシャルコストにおいては、漆喰はビニールクロスより不利ですが、ランニングにおいては、有利に働きます。漆喰は、ビニールクロスのように、全部張り替えることはありません。5年経過した現在で、今だに汚れたところや欠けたところを部分補修するだけで、次の入居者を気持ちよく迎えることができます。このコストは毎回、一桁に近い方の数万円ですから、ビニールクロスの物件の原状回復工事よりも、お得であることを実証できていると思います。

E302 杉の木製建具でゆるやかに仕切られた小室 左手にチラッと見えるステンレスキッチン 床はタモ15tフローリング
壁から天井が、外断熱されたRC躯体と漆喰、その床には無垢材をあわせて、「漆喰と木の室」。そこに、ステンレス天板の木製造作キッチン、あるいは、業務用のオールステンレスキッチンが鎮座して「漆喰と木の室」仕様が完成です。室の間取りは、各戸大なり小なりの違いが発生しました。どうしてそのようになったかというと、意図的に異なるように設計した、というのがまず第一です。全部同じ間取りというのは、いわゆる「ハーモニカ型」集合住宅と言われ、左右反転しても比喩どおり、同じ区画と間取りが並びますが、ずらっと並んだその一戸に私は住んでいる、と考えた時の、なんとなく湧いてくる不自然さのようなものが根底にありました。また、受動的な意味としては、複雑に鍵状になっていた敷地の外形に接するように、平面図が描かれたというのがあります。E棟よりも、W棟の方に、敷地形状の複雑さと平面プランの複雑さが同調しているのが顕著です。それから、敷地の中央で敷地分割された2棟によって、中庭で囲われた集合住宅となったことから、中庭に採光面のある室のために、自然光を確保しようと、上階がボリュームダウンしていく形となり、そこから、各室の変化が導かれたとも言えます。

W201 1000ミリ近くの高い段差が寝室となる想定。実際どのように住まわれているかは、もちろんわからない。
2021/1/27(土)とにかく、この集合住宅のオープンハウスの日は、面白いものでした。百名弱の方々がこの日にきていただきましたが、皆さん最低でも1時間をかけて、全38室を見て回られていました。転居の予定のない方も、どれに住もうかと、本気で悩まれていたりしていました。3時間ぐらいかけて、中庭に戻ってこられた方は、行きに比べて、顔がげっそりされていたりしていました。一つの集合住宅で40戸弱の全戸を見て回る機会というのは、そうないはずです。設計で苦労した分だけ、人様を楽しませることができた、かもしれません。(最初に部屋を決めた人はさぞ楽しかったでしょう)→ステアハウス各室紹介サイト
さて、それから5年が経過しました。マンションを借りるにも買うにも、「新築物件」なる言葉がありますが、これをうたえるのは、築5年までとのことです。それ以降は、「築浅」そして、「築古」となっていきます。ステアハウスは、今年で新築物件の看板を下ろしたことになります。ここからが、勝負。今のところ、想像を超える、人気のようです。全ての室の原状回復工事の連絡をいただくので、大まかに、空室を把握しています。工事の依頼を受ける時に、すでに入居日が決まっている時もありますが、そうでなくてもおおむね、原状回復工事をすれば、数ヶ月以内に、入居が決まっているようです。基本、常に満室になっていく状態。弊社にも、空きがないか、連絡いただくこともありますが、残念ながら、今は設計者の力及ばず、最新情報は、大央さん(ステアハウスE)( ステアハウスW)へ、ご連絡ください。

W504 一旦屋外の中庭を経由して、離れがある室。

E204 玄関が二つあって、一方の玄関を開けると、コンクリートを磨いた広い土間がある。そのままバルコニーへ

W203 唯一のメゾネット
この室は各階に玄関がある。内部階段でつながっている。
